SESと検索すれば、二言目には「SESはやばい」「SESはオワコン」「SES将来性無い」などと不安を煽る文言が出てきます。
果たして本当にそうなのでしょうか?
本日はIT業界の内部からSESの在り方や、本当に将来性が無いのかという点にフォーカスを当てて解説していきます。
現在SESでお勤めの方や、これからSES業界に足を踏み入れようとしている方は、一度私と一緒に考えてみませんか?
この記事で分ること
- SES業界に将来性が有るのか知りたい
- SESエンジニアに将来性が有るのか知りたい
- なぜSESに将来性が無いと言われるのか?
- これからのSESの在り方
この記事の信頼性 ~筆者について~
この記事を執筆しているとりちです。
私は新卒でSES企業に入り、激闘の末Sierに転職しました。
さらに現在は社内SEをしています。
社内SEとしての業務ではパートナーとしてSES事業の方にお手伝いして頂くことも多い状況です。
現役でSESをしていた時よりもより広い視点でSES事業の在り方を見つめ直せるようになりました。
SES・Sier・社内SEと、SESに密接に関わる三つの職種を経験したことで得た「IT業界に対する知見 」をみなさんの不安解消に当てて行きます。
では、さっそくSESの将来性についてみていきましょう。
SES業界に将来性はあるのか?
まず、潔く結論から申し上げます。
SES業界に将来性はあります!
将来性が有る理由
- 仕事はこの先100年以上無くならない
- IT業界がこの先どんどん膨れあがっていく
では上記の理由を詳しく見ていきましょう。
SES業界に将来性がある理由1 仕事はこの先100年以上はなくならない
そもそも、SESに将来性が無いといわれ始めたきっかけをご存じでしょうか?
SESに将来性が無くなると言われ始めたのは「AI(機械学習)が実用化されてから」です。
SESに発注するコーディング作業なら、AIで代替できるようになる。
上記の事象が、SESに将来性が無いといわれ始めたきっかけとなっています。
確かにAI技術は日々、目まぐるしいほどに進歩しています。
ですが、人の作業以上に正確なコーディングができるレベルに到達するのはまだまだ先の話です。
実用化される頃にはあなたはもう現役ではありません。それどころかあなたのお孫さんが定年退職している時代ですら実用化されていないでしょう。
そして、仮にAIがコーディングできる技術になっても、人が要件定義や設計を完璧に作らないといけません。
結局は人の作業が完璧にならない限り、AIを実用化することはできないのです。
ですので、この先100年以上はSES事業がAIに乗っ取られることはあり得ないのです。
ターミネーターのように機械が自分で進化し始めたとしたら話は変わってきますが。
SES業界に将来性がある理由2 IT業界は今後も膨れ上がっていく
IT時代と言われていますが、いまだに中小企業の多くはアナログで動いています。
少しずつ時代の流れに沿って、デジタルに移行し始めたところなのです。
これから、SESの仕事はどんどん増えていきます。
そして増えた分だけ新規開発が増えるのはもちろん、運用保守も増えるので仕事は増える一方です。
すでに人手不足になっているSES業界でさらに需要が高まっていくでしょう。
結論 SES業界に将来性はあります
上記の2つの理由から、SESに将来性があることがわかって頂けたでしょう。
将来性があるどころではありません。これからもどんどん増える需要に伴ってこれからSES業界は最盛期を迎えるといっても過言ではありません。
SESエンジニアに将来性はあるのか?
ここまではSESという業界において将来性が有るという話をしました。
ここからは、SESエンジニアの将来性についてお話していきます。
結論としてはSESエンジニアの将来には様々な障害が有るのが現状です。
SESエンジニアの障害
- 多重委託による単価低迷
- スキルアップの難しさ
- 定年雇用への不安
では、上記3点の障害を詳しく見ていきましょう。
SESエンジニアの障害1 多重委託による単価の低迷
まず、現在のSES業界で横行している多重委託が問題になってきます。
上図のように、元請けの大手企業の下にさらに他企業が介入し、中抜きをする事で末端の企業は儲けがほぼ無い状態になっています。
メモ
元請けが500万円で仕事を受託
⇒下請けの中規模SESに200万円で発注
⇒さらに下請けのSES企業に50万円で発注
⇒下請けSESは50万円からエンジニアの給料と会社の利益を確保しなければならない
現在のSES業界における多重委託の業務形態では、少しでも元請けに近い仕事がとれないと、従業員の給与低迷どころか会社共倒れの可能性まであり得ます。
入社する際にどういった企業と取引があるかよく確認しておくことが身を守る事につながります。
また、求人に大企業の名前を連ねている企業でも、3次受け、4次受けの可能性があるので、自分の口で、耳で面接官とコミュニケーションを取ることが大切です。
SESエンジニアの障害2 スキルアップが運次第?
SESエンジニアにおいてスキルアップは重要な要素の一つです。
ですが、そのスキルアップが難しい事が多々あります。
スキルアップをするには実務経験が最も役に立ちますが、SESエンジニアは現場を選べません。
中には、雑務を延々にさせられる現場も有り、とてもスキルアップに繋がらないこともあります。
スキルアップに繋がる現場に巡り会えることは運が良くないと厳しいでしょう。
また、SES企業は最短1ヶ月からの案件が多数あり、学ぶ前に現場が変わることも有ります。
さらには、新しいことにチャレンジしたくても、出来る事しかさせてもらえない事が大半です。
SESエンジニアの障害3 定年雇用への不安
エンジニアの単価は経験とスキルに応じて金額が決まります。
ところが二次受け、三次受けのSESになると一定以上で単価が伸び悩みます。
ですが、年功序列の企業が多いため、だんだん給料が割に合わなくなって行きます。
ですので、年を取る毎に会社には居ずらくなってしまいます。
注意ポイント
エンジニアにおける単価は一般的に40代前半がピークを迎えると言われています。
SES企業で生き残るには、働き盛りの内にしっかりとした社内での地位の確立が必要となります。
管理職になれれば、現場での単価が下がってからは内勤で社員の指導を行ったり定年まで働けるでしょう。
ですが、管理職を目指さない場合は、上流のSES企業やSEを目指して転職することが安定に繋がります。
SESエンジニアの将来性は危惧すべき
SES業界には将来性が有っても、エンジニアには将来はあまり良くありません。
若い内に資格を取るなり、経験を積んで安心して働ける会社に移籍することも一つの道では無いでしょうか?
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SES業界に将来性が有るのは分かった!では、これからSESはどう在るべきでしょうか?
世間一般では、SESに対するイメージはあまり良くないというのが現状のようです。
確かに、賃金の面でも労働環境の面でも、優遇されているとは言いづらいです。
SES業界が起死回生できるチャンスはあるか?
SESという仕事が無くなることは無いが、これから大きな進歩を迎えることができるのでしょうか?
可能性は5部といった所でしょう。
現在のSES業界はSES企業の上にさらにSES企業がいます。
簡単に言うと、下の者に働かせて楽して稼いでいる企業がのさばっている現状です。
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その状況を打破しない限り、業界全体は売り上げが上がるものの、下請けSESは苦しい経営が続きます。
ですが、これからSESの需要が伸びてくるにつれて、下請けSES企業がお客様と直接取引できるチャンスが増えてきます。
このチャンスを掴めるどうかが、今後の下請けSESの進歩の分け目になるでしょう。
エンジニアの方は手っ取り早くより上位のSES企業に転職するのがベターな選択です。
下請けSESが今後成長するために必要なこと
会社としてできることは以下の通りです。
ポイント
- 営業力の強化
- エンジニアのスキルアップ
- 優秀なエンジニアの獲得
上記の3つが揃っていないと、お客様との直接取引が難しいでしょう。
まずは、エンジニアを手放さないこと、スキルアップさせることを優先すべきです。
会社として、この目標を実行すればエンジニアは恩恵を受けられます。
ポイント
- 待遇が良くなる
- スキルアップできる
会社にも、エンジニアにもメリットがあります。
あなたの勤め先が将来を見据えた経営方針かはしっかり見極めましょう。
これからのSESの在り方 まとめ
需要が増えるのに伴って中抜き企業だけが甘い蜜を吸うのではなく、SES業界全体で平等に仕事が行きわたるのが一番の理想です。
ですが、人間は欲深い生き物で、みんなで優勝は難しいでしょう。
もし、あなたがこれからもSES業界で生きていくなら、より大きいSES企業に転職したほうが有利と言えます。
>>【IT業界】エンジニア転職サイト徹底比較!レベル別のおすすめサイト紹介
SESに将来性はあるが、下請け企業は要注意
SES業界は今後伸びていきますが、儲かるのは元受けSES企業だけの可能性が高いです。
業界内でスキルを磨きより上流の企業に転職できるとこれからSESとして、おいしい時代を堪能できる可能性が広がります。